ビスキャスは、国内で初めて架橋ポリエチレン被覆の回収電線をリサイクルし、再度架橋ポリエチレン被覆する技術の開発に成功いたしました。この技術を東京電力殿向けのOC電線(屋外で使用される配電用架橋ポリエチレン電線)に適用し型式を取得するとともに、納入を行いました。
電線屑は、回収・解体のネットワークが確立されており、導体に使用している銅・アルミニウムはほぼ100%近くがリサイクルされています。更に最近は、その解体過程で発生する被覆材料についても循環型社会を目指してリサイクルが行われてきています。電線被覆材料は、架橋ポリエチレン、ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルでその大部分が占められており、熱可塑性樹脂であるポリエチレンや塩化ビニルに関してはリサイクルが行われており、既にビスキャスでも、東京電力株式会社殿向けに塩化ビニル材料やポリエチレン材料を同じ電線被覆に用いるクローズドリサイクルを行っております。しかし、架橋ポリエチレン材料は、その耐熱性が優れていることから溶融して再加工することが難しく、リサイクルによる再資源化はほとんど行われていませんでした。そのため、架橋ポリエチレン材料は、燃料として使用されるか、産業廃棄物として処理され、材料としてのリサイクルは行われていませんでした。
そこでビスキャスは東京電力株式会社殿と共同で、架橋ポリエチレンを溶融させる新しい技術を開発し、その材料を再度電線に被覆する技術を実用化いたしました。架橋ポリエチレン材料の再加工は、溶融剪(せん)断法と呼ばれる方法で、高温状態にしても材料の溶融を難しくしている架橋ポリエチレンの化学的な架橋を、機械的な剪(せん)断力により切断する技術により行っております。この技術により、リサイクルされた架橋ポリエチレン材料を、架橋前のポリエチレンの流動性に近い状態に戻すことに成功、経済的にも成立つレベルとなるような技術改良、リサイクルシステムの検討を重ね、製品化を行いました。
この開発により、従来、技術的に難しく、低コストでリサイクルすることは不可能と言われていた、架橋ポリエチレン電線のリサイクルを可能としました。この技術は、すでに確立している、銅・アルミニウムの導体リサイクル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルの電線被覆材料リサイクルと併せることにより、電線完全リサイクル化への大きなステップになると考えております。今後、更にリサイクル電線の品種展開を進めることにより、CO2低減という地球環境問題の解決に、貢献していければと考えております。 |